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元祖恐竜パニック映画『ジュラシック・パーク』~観賞に役立つ2つのキーワード~

第一作が発表されてから、長きに渡りに愛され続けてきた映画『ジュラシック・パークシリーズ』。有名テーマパークのアトラクションにも採用されており、一度も見たことが無いという人は少ないことでしょう。

『ジュラシック・パークシリーズ』には、多くの作品があります。そして、その中でも一番おすすめなのは、第一作である『ジュラシック・パーク』。

今回は古いながらも絶対に面白い、映画『ジュラシック・パーク』について解説していきます。

映画『ジュラシック・パーク』の作品概要

『ジュラシック・パーク』は1993年公開の映画作品です。監督は、『ジョーズ』や『E.T』などの名作を数多く手がけたスティーヴン・スピルバーグ。主演を務めるのは、サム・ニールとローラ・ダーンです。

今作はバイオテクノロジーでよみがえった恐竜がもたらすパニックや恐怖を描いた今作は、計6作ある『ジュラシック・パークシリーズ』の第一作となります。今シリーズの内容をより深く理解するためにも、最初に観賞すべき作品と言えるでしょう。

あらすじ

古生物学者であるアラン・グラント博士は、パートナーで古植物学者のエリー・サトラー博士と共に、モンタナで化石の発掘を行っていました。その日は新しくヴェロキラプトルの化石が地中で発見され、2人とも喜んでいました。

そんな2人の前に、ヘリコプターが土煙をあげながら降り立ちます。ヘリコプターに乗っていたのは、2人の発掘作業のパトロンであるジョン・ハモンドでした。

ハモンドは自身が所有している島に、壮大なテーマパークを建設していました。そして、アランとエリーを「外部の目」として、パークの視察に招きます。

最初は渋っていた2人ですが、「発掘費用を3年分出す」というハモンドの言葉に心動かされ、視察に向かうことを決めたのです。

映画『ジュラシック・パーク』の2つのキーワード

『ジュラシック・パーク』は、スペクタクル溢れる超大作。難しく考えずとも、ただストーリーを追うだけで充分楽しむことができます。

しかし、これから解説するキーワードを考えることで、物語のもっと深い部分を知り、より楽しく観賞することができるでしょう。

「カオス理論」

映画『ジュラシック・パーク』をはじめ、今作のシリーズに共通して描かれているのが、「生命をコントロールすること」というキーワードです。もっと詳しく言えば、生命をコントロールすることの難しさ・不可能さ、といった所でしょう。

このキーワードを司るキャラクターが、数学者であるイアン・マルコム博士です。彼は未来を予測することはできないと考える「カオス理論」の専門家であり、その立場からパークの運営に反対しています。

ハモンドは、パークの安全性に絶対の自信を持っていました。恐竜の脱走を食い止めるための電気柵をはじめ、メスの恐竜だけを展示するという方法を取っていたからです。

メスの恐竜だけしかいないということは、自己繁殖ができないということ。恐ろしい恐竜を扱うのであれば、繁殖の管理は必須です。恐竜の数が増えれば増えるほど安全性は低下し、不足の事態が起こりやすくなるからです。また、繁殖の管理ができなければ、パークが失敗したときに、恐ろしい事態を巻き起こすことでしょう。

しかし、ハモンドの自信は打ち砕かれました。パークは予期しないトラブルに見舞われ、恐竜もまた、自ら繁殖する道を見つけ出したのです。

未来を予測し、制御することは難しいものです。しかしそれ以上に、生命そのものや、そのあり方をコントロールするのは不可能に近いでしょう。言葉が通じる人間同士ですら、思いを上手く伝えられないことがあります。言葉が通じず、遥かに人間よりも力強い存在を押さえることなど、できるはずがありません。

そして、これらの概念を内包するものがマルコムの提唱する「カオス理論」なのです。

映画内ではサラリと触れられて終わってしまう「カオス理論」。しかし、この理論を作品の中心として見てみると、ただの娯楽作品ではない、『ジュラシック・パーク』のもう一つの顔が見えてくるはずです。

恐るべきヒーロー「T-レックス」

『ジュラシック・パークシリーズ』を代表する恐竜と言えば、ほとんどの人がT-レックスを挙げることでしょう。ラプトルも物語の中心にいるものの、T-レックスの存在感は圧倒的です。

今作内におけるT-レックスについて見ていきましょう。彼女(今作に登場する個体はメスであることが確定しています)は、人間や他の草食恐竜などを襲う最強の捕食者でありながら、一種ヒロイックな一面も持っています。

物語終盤、ラプトルに追われ絶体絶命の状況に陥った主人公たちを救ったのは、その場に乱入してきたT-レックスです。彼女は獲物を追ってきただけかもしれませんが、それでも救いの手となったことは確かです。また、この構図は後のシリーズ作品『ジュラシック・ワールド』などにも引き継がれています(インドミナス・レックスと対峙する同個体)。

圧倒的な力を持つ存在は、良きにも悪しきにも振れるもの。むしろ、その場を飲み込むほどのパワーを持っているため、善悪の概念すらその存在に依存してしまいます。人間によって生み出されたT-レックスですが、その存在は人間が抑えられるものではありません。

T-レックスの存在をどう見るか。ただの怪物として見るか、ヒロイックさを認め、その場の支配者として考えるか。

これらをどう考えるかによって、『ジュラシック・パーク』の見方が大きく変わることでしょう。

まとめ

いわずと知れた映画『ジュラシック・パーク』の概要やキーワードについて解説してきました。

今作は世界中で愛され続けている作品であり、公開から相当な年月が経った今でも、名作として語り継がれています。そしてその名に違わず、多くの人を楽しませています。音楽を聴いただけでドキドキし、冒険心をくすぐられる人も少なくないことでしょう。

そこで、是非次に今作を見る機会があれば、この記事で取り上げたキーワードを思い出してみてください。ほんの少し見方が変わるかもしれません。見方が変われば、新鮮な気持ちで物語を楽しむことができるでしょう。