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数字に取りつかれた男を描く映画『ナンバー23』~物語の本質に迫る一つの見方~

何か一つのことが気になると、いつまでもそのことが頭から離れない。こんな経験をしたことはありませんか?誰にでもあるこの現象ですが、行き過ぎてしまうと危険です。

今回ご紹介していくのは、「数字」を気にしすぎる男を描いた映画『ナンバー23』。今作は、物語の見方を変えることで、大きく印象が変化する作品でもあります。

この記事では、『ナンバー23』という物語の本質に迫るための見方について、考えていこうと思います。

ナンバー23(予告編)

映画『ナンバー23』の作品概要

映画『ナンバー23』は、2007年公開のサスペンス作品です。監督は『バットマン フォーエバー』のジョエル・シュマッカー。主演は『マスク』で知られる著名なコメディ俳優のジム・キャリー。

今作の一番の特徴は、ジム・キャリーがシリアスな演技を見せているということ。彼の持ち味であるコミカルな演技は一切なく、深く考え苦しむ男性を演じ切っています。

また、今作スリラー、もしくはホラー的でありながら、ミステリー要素も多く含んだ作品です。「23の謎(エニグマや数秘術)」や主人公の正体などを考えながら観賞することで、より楽しむことができるでしょう。

あらすじ

ウォルターは動物管理局で働く、ごく普通の男性でした。家族仲は良く、彼の誕生日であるその日も、妻と待ち合わせをしていました。しかし、ウォルターは仕事中に犬に手を噛まれてしまい、待ち合わせの時間に遅刻してしまいます。

ウォルターの妻・アガサは夫を待つ間、古書店で立ち読みをしていました。彼女は「ナンバー23」という本を気に入り、ウォルターにプレゼントすることにします。

ウォルターはその本を読み進めるにつれ、本の主人公・フィンガリングと自分自身の共通点に気が付きました。自分の育ち方に関わるもの、過去の記憶など、様々なものが一致していくのです。そして、フィンガリングが取りつかれていた「23」という数字に、ウォルターも支配されていきます。

映画『ナンバー23』とはどんな映画なのか

ナンバー23』の評価は、正直に言えば芳しいものではありません。登場人物の設定やストーリーの粗削り感が否めない上、ジム・キャリーという役者と役柄がミスマッチに思えるからでしょう。

しかし今作は、見方によって180度評価が変化する作品の1つです。単純なホラーやミステリーとして見ればイマイチかもしれませんが、人の精神的な面がもたらす恐怖感を考えれば、面白い作品として見ることができるのです。

ナンバー23』は、そのタイトルの通り、「23」という数字に取りつかれた男性を描いた映画です。主人公のウォルターは、自分や家族にまつわるものや、世の中の全てを「23」に結びつけます。足して引いて割って……。その様は無理やりこじつけたようで、滑稽ですらあります。

ここで少し、自分自身のことを考えてみましょう。一度気になってしまったら、何も関係がないはずのことすら、何等かの関係性を見つけてしまうことはないでしょうか。自分でもおかしいことは分かっているのに、想像がやめられない。そんな経験をしたことがある人も多いことでしょう。

ウォルターの精神は、正にこの状態です。家族から止められても、もはや自分で止められないのです。

映画の主題を「数字」ではなく「ウォルターの精神状態」において観賞したとき、今作は滑稽なものから恐ろしいものへと変化します。創作されたものに対する恐怖ではなく、より事実に即した恐怖を感じるのです。

何かに恐れを感じたとき。その感覚を振り払えないとき。その恐れが頂点にまで達すると、人は心を病んでしまうでしょう。そして、その状態は他人から見ると一種異様です。自分とは全く違う異質なものを見てしまい、頭と心が追いつかないのです。どれだけ大切な人であり、理解しようとしていても、受け止めるには時間がかかってしまうのです。

今作では、ウォルターが「23」という数字に執着し、追いかけ続けます。確かに、今作をより深く考える上で、数字の意味を知ることは有意義です。しかし、今作が表現する恐怖感を味わうには、数字を見るだけでは足りません。

ホラーやスリラーを楽しむ際には、恐怖感が重要です。そして今作の恐怖感を担うのは、「23」でも、それに伴う謎でもありません。ジム・キャリーが演じる「ウォルター」という人物の精神状態そのものなのです。

今作では、ウォルターが「23」という数字について語るシーンがかなりの割合を占めます。そのため、ついつい数字に目を引かれることでしょう。しかし、無理にでもウォルターの表情や口調に注目してみてください。

ジム・キャリーの絶妙な演技と共に、今作が持つ恐怖を感じとることができるはずです。

まとめ

ジム・キャリーにしては珍しいシリアスな映画『ナンバー23』について語ってきました。

今作はあまりメジャーなものではなく、知らない人も多いかもしれません。また、コメディではないジム・キャリーの演技も、あまり想像できないことでしょう。

確かに今作は、手放しで「名作だ!」と言えるものではありません。しかし、映像は美しく見どころに溢れ、深く考える余地のある作品でもあります

じっくり腰を据え、今作を見てみましょう。リアリティのある恐怖を感じることができるかもしれません。


最後に、

欧米では古くから忌避されてきた数字「13」現代物理学に未だ解明されていない「最大の謎」と言われている数字「137」などの話もあります。数字に関する話はこれからも絶ち切れないようです。例えば、日本有名な建築物にも、、、

サンシャイン○○の数字!?